■梅香園初の…
特養の松原さんのルーティンは、仕事開始の少し前には現場入りすること。その現場の空気になじんで業務に入ると、自分の力が発揮でき、パフォーマンスが高まるといいます。特養の中でもリーダーを支える中核的な職員です。
そんな松原さんは今年、第二子が生まれるにあたり「パパ育休」を取得しました。梅香園では第一号です!
家族と一体となって過ごした60日間。松原さんは「妻と二人三脚で駆け抜けた。育休を取って本当によかった」と振り返ります。「職場に感謝しきれない」とも。
育休中は、ミルク作りやおむつ交換などしっかりと育児に向き合いました。慣れない家事にも奮闘しました。当初は、育児休暇取得に少し迷ったといいますが「職場の理解があって家族とかけがえのない時間を過ごすことができた。他の方にもぜひおすすめしたい」と話します。
「産後パパ育休」は、2022年10月に施行された国の制度です。この制度を使って松原さんは3月から2か月間「パパ育休」を取得しました。
育休取得のきっかけは、看護師として働いている妻からの相談でした。一人目のときは、半年間の里帰り出産だったため、産後直後は一緒に過ごす時間が少なかったといいます。今回は、その子が幼稚園卒園、小学校入学のタイミングと重なるため、取得を考えました。長期間職場を空けることになります。でも、思い切って申し出ると、当時のユニットリーダーが「取り!取り!絶対取った方がいい」と背中を押してくれました。もちろんリーダーの声だけでなく、他のスタッフの全力のサポートもありました。大きな支えになったそうです。
■いざ始まると…
子供が生まれ育休に入ると、毎日息抜きする間もないほどの忙しさ。数時間ごとのミルクづくり、哺乳瓶の消毒、おむつ交換、沐浴、寝かしつけ…と、慌ただしく過ぎていきます。小学1年生の長女の身の回りのお世話もあります。食事の支度では、ハンバーグや肉じゃがにも挑戦しました。なかでも好評だったのはピザ。生地からこね、マヨネーズや照り焼きチキンをのせます。忙しく過ぎていくなかで、そうした子供と触れ合う時間も取れました。また、飼い犬のゴールデンレトリバーは、新生児にどんな反応をするか心配でしたが、歓迎モードで迎えてくれました。妻の御祖母様と一緒に百日祝ができたことも良い思い出になりました。
振り返ればあっという間の2か月間。夜泣きが始まると、妻と交代で抱っこしてあやしました。介護や看護の仕事にちなんで「夜勤」と名付けて、夜は毎日交代で赤ちゃんの担当を決めました。24時間シートを作成し、おむつ交換やミルクをあげた時間など気になる点を記録し、互いに報告しました。そうすることで、ほんの少し仕事モードのスイッチも入り、自覚が高まり、気分も変わって楽しめたそうです。
そんな日々のなかで気付いたことは、接する時間が多ければ多いほど、子供がより一層可愛く愛おしく感じた、ということです。「生まれてからのかけがえのない時間を、見過ごすことなく子供と接することができた。貴重な体験だった」と話します。家族との絆もさらに深まりました。
「職場のみんなの理解と支えがあったから、そうした体験ができた。梅香園でよかった」と思い返します。
■お金は大事だよー♪
反省点をひとつあげると、育休手当が支給されるのにタイムラグがあったことでした。「当然育休中は無給です。育休中の資金を事前に貯めておくなど、制度をもっと理解しておけばよかった。今後取得を考えている方は、計画的に進めておくとスムーズ」だとアドバイスをしてくれました。
松原さんは、工場で溶接などものづくりをしていて、介護業界に転身しました。介護の仕事に元々興味があったのを、奥様が「やってみたらどう?」と後押ししてくれたそうです。今では、ご利用者さんの変化だけでなく、職員への気配りも欠かさない頼れる存在です。尊敬する先輩職員もいます。
育休から復帰後は、ユニットの異動があったこともあり「初心にかえり必死でやっている。育休を取ったことで、新たに気合も入りました」と言います。これまで以上に、家族のために頑張って働かなければという気持ちも強くなったそう。
周囲からも「なんでも積極的に取り組んでくれて、頼りにしています」と声が上がります。
今後は、介護福祉士の資格取得を目指したいと語る松原さん。「介護の仕事は人と人との繋がり。話すことも心を通わすこともできる。ふとしたときのご利用者さんの笑顔やコミュニケーションが取れたときには、とてもやりがいを感じる」と前を向きます。