令和5年7月に就任した田中施設長。今回、施設や介護業界についての考えを聞くことができました。「ご利用者さんにとって梅香園が地域で第一の選択肢となるように心がけたい」と田中施設長は常々話します。この言葉は、どういうことなのか。もっと深堀りして紹介します。休日の横顔にも迫ります。
■介護業界に入ったきっかけ
やすらぎ福祉会に入職して18年。経歴を簡単に紹介すると、まずケアポート神戸でショートステイを担当しました。その後、ひよどりホームの開設にかかわり、さくらホームを経て、令和5年1月に梅香園に副施設長として着任しました。
介護業界に入ったきっかけは、介護保険がスタートした数年後。制度が動き始め、ソーシャルワーカーの環境整備が進んでいるように見えたと言います。いつか相談員になりたいと思い、まずは現場を知るために介護職に就いたということです。
これまでの仕事で印象に残っていることは、「看取り」だといいます。支援してきた方の看取りのお手伝いができたこと。「もっとこうできたのではないか」と思うこともあり、完璧ではかなったかもしれないけれど見送られる人、見送る人が満足している様子に、ほっとしたといいます。最期のときに間に合ったご家族の表情を見ると、やっていてよかったと感じたそうです。
■梅香園の印象は「垣根が低い」
梅香園に来た当初、施設の印象は「特養やデイサービスなどサービス分野間の垣根が低い」ということだったそうです。組織が縦割りで業務をこなしているのではなく、さまざまな部署の職員が互いに連携しながら仕事をうまく進めているな、と感じたといいます。そうした横のつながりがあることは強み、これを生かさない手はないと。ただ、着任した1月は、まだコロナ一色だったころ。その対応に追われる日々が続いていました。
■モットーを具体化するために
「地域で第一選択になる」という言葉は、この業界に来てからずっとモットーにしていることだといいます。もっとかみ砕いていえば「困っている人を助けたい」というシンプルなことにたどり着きます。困っている人を助けるには、自分もしっかりとした知識、サービス力、やりがいや使命感を持つ必要がある。そうでないと務まりません。そのためには自分が成長をしていかなければならない。だから、日々の学びが大切、ということにつながります。
梅香園が地域で第一選択になるには、まず『サービス力』が一番でなければならないといいます。一番のサービスを提供するには、サービスそのものだけではなく、組織全体がより良く機能しなくてはならない。だから個々の成長が必要。梅香園の職員間の「横のつながり」という強みを生かしながらです。施設長としてチームを管理する立場になって、さらにその大切さに気付いたといいます。自分に足りない部分を学び直し、できるだけ職員に自分の学んだことを還元していきたい。職員が成長しなければ「梅香園が第一選択」にならない。一人ひとりが成長できる環境を提供していくので、職員にも自分のできる範囲で、できることをしてほしいと田中施設長は考えています。
研修風景
■もっといえば
さらに3年後、5年後を考えたとき、例えば地域のコミュニティや会議で「やっぱり梅香園でなきゃ」とか、色々な場面で「梅香園に相談してみよう」という存在になっていることが理想だそうです。そのために、長期的な視野で、職員の人材育成のプログラムを実行していきたいと、田中施設長は意欲を見せます。「これからの梅香園に期待していただきたい。優秀な人材を育て、地域に貢献していきます」と話してくれました。職員には「現場に出ると、それぞれ目の前の支援のことで、時にはしんどく感じることがあると思いますが、一生懸命、誠意を尽くしていけば、きっとその支援は実るので頑張ってもらいたい」とエールを送ります。
■プライベートでは
今後について熱い思いを語ってくれた田中施設長。普段の勤務中はどのような感じなのでしょうか。集中力を保つために、平日は夜しか食事を摂らないと言います。施設では、夕方の休憩時間にコーヒーのお供に、少しおやつを口に入れるだけ。チョコレートがお好きだそうです。帰宅後の楽しみは晩酌。ウィスキーをロックやハイボールで。量はほどほどで。よく聴く音楽はジャズ。詳しいわけではないけれど、ジャズを聴きながらの晩酌の時間は、リラックスできるひとときでもあります。
休日は、月に1,2回六甲山を2時間から3時間かけて登ります。ルートはその日によって色々。たまに道に迷うことも(^^; 2人の息子さん(中3と高2)の運動のためにと思い始めたけれど、今は自分自身の体力づくりのために登っているといいます。山頂では、お弁当を食べるほか、摩耶山のレストランがお気に入りだとか。11月は久々に息子さん達と六甲山に登ってきたそうです。
いくつか写真をいただきました(^O^)/
写真からもマイナスイオンが届いてきそうです(*^-^*)
神戸の街が一望できます
子供の頃は、ボーイスカウト、中学時代はバスケ部、高校時代は野球部に所属。息子さんたちが幼い頃は、毎年日本海でキャンプもされていたようです。
…もっと、田中施設長の横顔に迫りたかったのですが、今回はここまで(^^;
また、機会があれば素朴な質問もしてみたいと思います。
秋祭り ご利用者さんと金魚すくい対決をしました(^^♪
■インタビュー後記
一見クールでスマートに見える田中施設長ですが、実はとても熱い気持ちを持っていることを知りました。ちょうど1年前、コロナ禍で互いの表情がなかなか見えないなか、田中施設長の笑顔にみんな興味津々でした。事務所には、私を含めおしゃべりが好きな職員が勢ぞろい。施設長が席を外すタイミングで、「今、施設長、少し笑っていたよね?♪」というふうに(^^;
また、礼節を大切にしておられることを実感する面もありました。退職する職員が、田中施設長に挨拶がしたいと梅香園を訪ねてきたときのこと。挨拶を終えて、園を後にする職員を駐車場まで見送り、車が見えなくなるまで立ち続けている姿を見たことがあります。
さらにこんなこともありました。ある職員の様子がいつもと違うことを悟ると、「ちょっと出てきます」とその職員を連れ出し、ほどなくして戻ってきた職員の顔が晴れやかなのが印象的でした。そうやって、重い空気を察知して局面の転換を図ってくれることもあります。「困っている人がいたら助ける」は、園外の人向けだけではないようです。
私は梅香園の職員の一人ですが、もし自分の住む街に『地域で第一選択になる』という、熱い想いをスローガンに掲げた施設があれば、とても心強いと感じました。いつか直面する「介護」。どういった形にせよ当時者になったときに、迷うことなく頼りにできる施設があるということは、高齢社会の街づくりの中で欠かせないものになるかもしれません。こうした強い信念と優しさを合わせ持った施設長の下、梅香園は前に進んでいきます。
デイサービス送迎の様子