新着情報一覧

2022/07/22
最後の研修   ~認知症ケアについて~

 3年間、梅香園の先頭に立ってきた米口施設長が別の施設に異動することになりました。最後に梅香園を支えていく役職者やリーダー向けに認知症の研修を行いました。

「一人ひとりに伝えたいことはたくさんありますが、研修を通して最後にみなさんにメッセージがあります」

 その言葉で研修が始まりました。

「みなさん、認知症を一言でいうとなんでしょうか?」

研修に参加した一人ひとりが頭を巡らせます。

「医師によっても、看護師によっても回答は様々です」米口施設長は言葉を継ぎます。

「私たちはたくさんのことを常に認知しています。目が覚めてから顔を洗い、服を着替える…。すべて無意識に認知を繰り返しているのです」

「想像してみて下さい。もし突然意識を失い目が覚めて、知らない場所に居たら。一瞬、不安になりパニックになると思います。私たちは外からの情報と五感を駆使して何とか自分で現実に戻ることができます。それは『認知』ができるからです。しかし、認知症の方は『今』を認知できず、別世界から一人では戻ってこられない状態なのです」

 米口施設長は、認知症のご利用者さんの世界を理解してほしいと訴えます。不安で困っていたり、悲しかったり、そんな気持ちが続くと異食や徘徊などの症状がでてきます。ご利用者さんのアセスメントや個人史を理解することによって、その世界をより深く知ることに繋がると言います。

 

 アルツハイマー病を発病しても、症状がでない脳があることを記した「100歳の美しい脳」という本の紹介もありました。認知症は脳の機能の低下だけで起こる症状ではなく、環境やストレスなどの色々な要因によるといいます。よりよい環境で暮らすことで症状が出ないこともあるようです。  

 さらに、「銀のさら」のCMを紹介し、ここに認知症への対応の仕方が凝縮されているといいます。

 認知症になった老いた母親の言動を正そうとする息子に対し、孫の男の子は、祖母の言動を正そうとも否定せず、寄り添う―というストーリーです。CMではもっと深いエピソードがあるのですが、ここでは割愛します。

 米口施設長は、認知症のご利用者さんのいる世界に寄り添い、常に「一人の人として考えて対応する」ことを念頭において行動することが最も大切なことだと締めくくりました。

 

 

アーカイブ